諦めるということ
乾癬という病いを患って、身についたことがある。
それは「諦める」という事だ。そしてこの「諦める」は、決してネガティブな意味ではない。
私は乾癬によって諦めざるを得なかった事がいくつかある。 でもそれは仕方のない事だ。努力やお金でなんとかなるようなものではない。仕方のない状況から、自分のできる方法をまた考えればいいのだ。
自然の摂理に逆らうほど「何がなんでも」という考え方に私は違和感を覚える。
科学や医学は日進月歩。倫理的に問題はあるが技術的に可能になった事は多くある。
しかも金銭的に余裕があればその技術を個人が使う事も可能な世の中だ。
そうなると最早、人間のエゴだ。
私が健康な体であれば、もしかしたらそのようなエゴの強い人間になっていたかもしれない。もちろんそれはそれで間違いとは言い切れないし、批判をする権利は誰にもない。
人間は必要以上に欲しがる生き物だ。人間の欲は果てしない。そしてそうなってしまう気持ちも、よく理解できる。
だが私は乾癬患者である事で、自然に「足ることを知る」という事を身につけてきたように思う。
昔、何かの本で読んだ覚えがある。
「諦めるとは、明らかに極めるということ」。
確かにそう思う。