乾癬という病い

このブログは、難治性皮膚疾患である乾癬という病いとともに生きる、一人の人間の記録です。

諦め

新型コロナウイルスによって世界の状況は刻一刻と変わっていく。相談のために病院の予約を取ったがその間にも疑問や不安がつのっていく出来事が度々起きた。

当たり前だが会社にはいろんな人がいる。ずっとマスクをしている私を笑う人もいたし、全くニュースを見ず興味がないという人もいた。

おまけに私の隣の席の男性はマスクが苦手で絶対につけたくないという。インフルエンザの予防接種を受けたこともないしインフルエンザに罹ったこともないから自分は大丈夫だと豪語する。

私は出来ればマスクをしてくれないかとお願いしたが「ご冗談でしょ」と一蹴された。

会社は2月最後の週になっても何も策を講じなかった。私はたまらず朝のミーティングで声を上げた。

せめて希望者だけにでも時差出勤させてほしい。体調不良で休んだ人に発熱などの報告の義務づけ、社内や家族に感染者が出た場合の出勤に関するガイドラインをざっくりとでもいいから早く決めてほしい、じゃないと事が起きてからでは混乱するだけだし手遅れになる事もあると訴えた。

それも笑って流された。「電車なんていつだって混んでるし、みんなこの時期は残業してるから時差出勤なんて意味がないよ。それに感染者が社内にでても対応なんて保健所に聞かなきゃわからない。我々は専門家じゃないんだから。感染者がでたら保健所の指示に従って対応します」と。

未知のウィルスなんだから、専門家だってわからないに決まってるでしょ!と喉まで出かかったが、私はぐっとそれを飲み込んだ。

後手を踏む政府の、さらにその後手を踏もうとしている会社にもう何も言う気になれなかった。

仕方なく私は会議後に部長を呼び出して、実は免疫を抑制する薬を使っているので時差出勤を特別に許してもらえないかと相談した。当たり前だがそんなことを言いたくはなかったし、知られたくなかった。

部長は、そうなの?じゃぁ本部長に相談してみる、と答えた。まるで伝言ゲームだなと思った。そうこうしているうちに時間だけが過ぎていくんだろうなと思った。

しかしその日の夜、政府は急に経団連へテレワークや時差出勤の取り組み要請を出した。その動きを受けて、翌日会社の幹部は急遽会議を開き、社員の時差出勤を決めた。希望者だけではなく全員強制だった。

昨日までは時差出勤を笑っていたのに。国からの要請を受けた途端にこれだ。こんなのはいかにも自分達はちゃんと対策をとってますよといわんばかりの単なるポーズじゃないか。

私は免疫抑制剤の話などしなければ良かった、とひどく後悔した。

もう諦めかけていた。

もはや自分が新型コロナにかかってももうどうでもいい。ただ私が感染し、他人にうつしてしまう事が怖くて仕方なかった。

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