乾癬という病い

このブログは、難治性皮膚疾患である乾癬という病いとともに生きる、一人の人間の記録です。

2017-01-01から1年間の記事一覧

未知の世界

ステラーラ4回目の投与。最初の投与から28週経過。肌状態は85%ほどの改善を保っている。医師は「随分綺麗になったねー。もうメソメソしてない?」と笑い、私も「はい」と笑った。 なんとなくステラーラでの改善はここまでが限界だろうな、と感じた。もちろ…

等身大の自分

人生において色々な選択をする際に、乾癬患者であるという事が壁になる事が多かった。 仕事を決める時さえも、真っ先に気にするのは、その職場に制服が有るか無いかなのだ。 男性の乾癬患者の場合もおそらくスーツで悩む人は多いだろうと思う。肩に落ちる鱗…

蕁麻疹

ステラーラを打ってすぐ、私は毎日腕の蕁麻疹に悩まされるようになった。 医師に相談したが、ステラーラの副作用としての蕁麻疹はあまり聞かないし、因果関係はわからないと言われた。 約5ヶ月ほど毎日アレルギーの薬を飲み、蕁麻疹を抑えていたが、最近よ…

矛盾

自分の体を初めて愛おしいと感じた時、思うことがあった。 いままでどんな民間療法や食事療法を試しても、乾癬はびくともしなかった。その度に私の心は荒れた。 どうせこんな身体だし。 どうせ治らないし。 どうせ私なんて。 どうせ、どうせ、どうせ。 世の…

私の体

ステラーラ最初の投与から27週経過。私の肌状態は85%程改善した。 首回りと背中にまだ消えていない乾癬があり、たまに小さな乾癬が新たに出たり消えたりしている。でも最早そんなことは気にならない。 肌を気にしない生活。 美容院に行くことも苦痛ではなく…

スカート

スカートで会社に出勤した。季節は冬なのでタイツを履いて。 今までもスカートにタイツなら皮膚を隠せたが、スカートを履くとやはり珍しいのか、会社の人たちに「今日はスカートなんだね!珍しいね。何かあるの?」と言われてしまい、対応に困って結局パンツ…

やってみたい事

乾癬が良くなったらやってみたい事。 服装以外ではまず水泳。 ジムに行ってプールで泳いでみたい。 仕事の忙しさで、私は健康の為の運動をほぼしていない。毎日会社から帰るとクタクタで、翌日の準備などをしたらすぐベッドに入る生活が長く続いている。 ス…

このブログを目にした乾癬の方へ

このブログを書く時、もし乾癬患者がこのブログを目にしたら、と考える事がある。 もしたまたま私のブログを目にしたとしても暗い気持ちにならないで欲しい。 ここに書くことは、単に私の場合であり、私が感じたことだけだ。読み返してみてちょっと暗いなと…

自己免疫疾患

ステラーラ最初の投与から25週が経過した。投与前に比べて80%程の改善を維持している。 乾癬患者の中には、発症後に自然寛解し、数年または十数年とその状態を保っている人もいる。 私の場合、5歳で発症後、ずっと乾癬は広がり続けていた。様々な民間療法、…

混乱

最初のステラーラ投与から23週が経過した。私の体から8割ほどの乾癬が消失していた。 生物学的製剤を使用し始めたのと時を同じくして、私は仕事がかなり忙しくなっていた。 正直、この時期に仕事でストレスを感じたくなかった。ストレスが生物学的製剤の効き…

現実

皮膚がクリアになるにつれ、これから自分がしてみたい事をあれこれと考えるようになった。 まずは好きな服を着ること。半袖の服、スカート、ワンピース。 私は女性らしい服装に憧れていた。皮膚を隠すため、いつも長袖にパンツスタイルだったからだ。 その他…

足湯

ある秋の日、友人達と連れ立って少し遠出をした。 立ち寄った先にたまたま足湯があり、みんなで入ろうという事になった。 普通の人にとってはなんてこともない、よくありがちな場面だ。 膝まで服をまくり、暖かい足湯につかる。 だがそんな事も今までの私に…

皮膚

1回目の投与から20週が経過した。このとき乾癬は、私の体から7割がた消失していた。背中の皮膚の一部などは生まれ変わったかのようにツヤまで出てきた。 これほど乾癬の範囲が少ない自分の体を、今まで見たことがなかった。 なかなか効果が出なかった時期の…

3回目の投与

3回目のステラーラ投与の日。 会社を抜け、病院へ向かった。この時の皮膚状態は先週より更に改善されていた。 この日は、検査(血液検査、レントゲン等)を受けた後の診察となる。 スムーズに検査が終わり、昼食をとったあと、診察室に呼ばれた。 女性医師に…

兆候

14週を過ぎた頃、皮膚に変化がみられた。 手で触ると、赤く盛り上がっていた皮疹が少し平らになってきていた。 13週目と14週目の写真を見比べると明らかに赤みが引き、丸い皮疹の真ん中から正常な皮膚が少し見えてきていた。 効いてきかもしれない。 でもぬ…

記録

この時期から、私は記録として自分の体の写真を撮る事にした。 毎週土曜日に背中、腕、足を中心に写真を撮り、スマホへ保存していった。週ごとに皮膚状態の変化を確認する為だ。 今まで自分の乾癬を写真に撮った事など一度もない。鏡に映る自分の体を見る事…

忘れられない日

暫くして、席を立った医師が診察室に戻ってきた。後ろには、初診の時に一瞬顔を出してくれた有名な皮膚科医も一緒だった。 もう事情は聞いてわかっていたのか、泣いている私にその有名な医師は言った。 「もう少し、一緒に頑張ってみない? 3ヶ月後の診察の…

本音

ステラーラ最初の投与から6週目に入っていたが、皮膚に変化は見られなかった。 私は医師を変更してもらい、相談の為に病院へ行った。 新しい医師は女性で、サバサバしているタイプの人だった。この人とは合うかも、と直感で思った。 私はステラーラを打って…

医師の変更

2回目の投与から1週間後、つまり最初の投与から5週が経っても皮膚の状態に変化はなかった。 正確には… ステロイドを塗っていないが変化はなかったという方が正しい。 私はステラーラの投与後、ステロイドの塗布をやめ、かわりにビタミンD3軟膏を塗っていた…

2回目の投与

乾癬の状態はほぼ変わらないまま、2回目のステラーラ投与の日が近づいていた。 最初の投与から4週。 私はすでに、別の製剤に変えてもらおうと思い始めていた。 2回目の投与日。 私は医者に風邪を引いた事、疲れやすくなった事、乾癬の状態が変わらない事、不…

風邪

医者からは、効果が出るのは1ヶ月後くらいだろうと言われたが、私はもう投与の翌日から乾癬の状態に変化がないかどうかを気にするようになった。 今後もステロイド軟膏はいつものように続けてくださいと言われていたが、ステロイドを塗っているとステラーラ…

ステラーラ

ステラーラは、IL-12(インターロイキン)およびIL-23の働きを弱めることで、皮膚細胞の異常な増殖と炎症を抑え、乾癬の症状を改善する製剤だ。 ステラーラには投与した約7割の人でPASIスコアが75%低下したというデータがある。 簡単にいうと、ステラーラを…

生物学的製剤の投与

初診から10日後、私は再度病院へ行き、診察室に呼ばれた。前回受けたいくつかの検査結果に問題はなかった。 ではステラーラを打ちましょうと医師は言い、私のお腹の左側にそれを注射した。 ほんの数秒で終わった。 私は、いつ頃から効果が出はじめるんでしょ…

タイミング

生物学的製剤の投与は乾癬を治す治療法ではない。症状を改善し、患者のQOLを保つ為の治療法だ。 だから治療をやめると、乾癬はまた出てきてしまう。つまり良い状態を保つには、ずっとこの治療を続けなければならないという事になる。 生物学的製剤は高額だ。…

初診

初診の日。 仕事は午前休を取り、病院へ向かった。 ちゃんと予約時間に名前を呼ばれ、私は診察室に入った。 若い男性の皮膚科医だった。 私は今までの治療歴や身体の症状、そして今の自分の想いをきちんと説明した。 その上で生物学的製剤を使いたいと申し出…

条件

初診までの三日間、私は生物学的製剤に関して、インターネットで更に詳しく調べ続けた。 私が気にしていたのは、この治療による危険性より、この治療を自分が受けられるかどうかだった。 生物学的製剤での治療を受けられる人には条件がある。 基本的には重症…

焦り

私は会社から乗り換えなしで行ける病院を選び、予約の電話を入れた。 その病院の皮膚科には乾癬治療で有名な医師がいたが、その医師にはやはり患者が多くいるようで、その医師で予約を取るなら数ヶ月後になると言われた。私は医師にはこだわっていなかった。…

道端アンジェリカさんの告白

ある日、モデルの道端アンジェリカさんが乾癬を患っているというニュースを目にした。 Instagramにポストされたその告白。 アンジェリカさんが乾癬を患っているという事実より私が驚いたのは、「今は定期的に注射して治療している」という事だった。 注射?…

本当の自分

昔はよく想像していた。 もし乾癬ではなかったら、本当の私はどんな性格で、どんな人生を送っていただろうかと。 ん?でもちょっと待って。何か変だ。 そもそも本当の自分ってなんだ。乾癬じゃない自分が、本当の自分なのか。もし私が乾癬でなかったら、それ…

内と外

皮膚の病は表面的に他人から分かりやすい為、患者は積極的に外に出る事が出来ず、引きこもりがちになる事が多い。 必然的に意識が内へ内へと向かっていく。 私も苦しい自分の気持ちに折り合いをつける為、様々な本を読み漁り、考えたりして、自分を納得させ…