乾癬という病い

このブログは、難治性皮膚疾患である乾癬という病いとともに生きる、一人の人間の記録です。

忘れられない日

暫くして、席を立った医師が診察室に戻ってきた。後ろには、初診の時に一瞬顔を出してくれた有名な皮膚科医も一緒だった。

もう事情は聞いてわかっていたのか、泣いている私にその有名な医師は言った。

「もう少し、一緒に頑張ってみない? 3ヶ月後の診察の時は僕も一緒に診るから。ステラーラはね、ちょっと時間がかかるの。焦る気持ちはわかる。だけど僕らも一緒に頑張るから。」

そして続けた。

「あなたは苦しいって言っていいんだよ。だってあなたはずっと苦しんできたんだから。苦しい、つらいって言っていいんだ。」

あまりにも優しい言葉だった。

その言葉を聞いて、嵐のように揺れていた私のこころが、驚きとともに穏やかに、さらに暖かくなっていくのがわかった。

何だか私は、許されたような、受け入れられたような、そんな気持ちになっていた。

そしてずっと心の中にあった焦りや苛立ち、そして不安までもが消えていったのだ。

その瞬間に私はもう、3ヶ月間様子を見るという事をすんなりと受け入れていた。

その後もその有名医師は、自分の予約の患者もいるだろうに、時間を割いてくれ、私に患者の会(女性だけ)がある事も教えてくれた。そして、こういう会はあなたのような人の為にあるんだ。参加してみなさい、とアドバイスまでしてくれた。

この日の事と先生の言葉は、私は一生忘れないと思う。

診察室に入った時とはまるで違う気持ちで、私は病院を後にした。

効くまで焦らず待とう。きっとそのうち良くなるはずだ、と根拠のない希望と、スッキリした気持ちと、不思議な安堵感と感謝でいっぱいの心で、私は会社へ戻っていった。

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