相性
乾癬の状態は肘、背中、手の甲の部分だけ少し悪化していた。足は綺麗な状態を保てていた。
前回のステラーラから一ヶ月、肌の状態を診てもらいに病院へ向かった。今回の診察は、その肌状態によって今後ステラーラを二本打つか、もしくは製剤を変えるかを決める為のものだった。
先月まで私はクリアな肌になりたいという想いが強く製剤を変えてもらおうと思っていた。もっとよく効く製剤は他にもあるだろうし、実際に続々と新しい製剤が出てきている。
しかしステラーラの効果が一年と持たなかったという事実をよくよく考えると私は急に怖くなった。効かなくなったからといってすぐにコロコロと製剤を変えていれば、使える製剤なんて数年でなくなってしまうのではないか?しかも免疫を抑制する注射をそんなに簡単に変えていったとして、将来私の体はどうなるのか?
などとごちゃごちゃ考えながら診察室の扉を開けた。すると全然知らない女性医師が座っていた。
医師は自身の名を言いながら交代した旨の事を言っていたが、私は混乱していた。初めて自分の肌を診る人に次回の製剤をどうするのか決められるのだろうか、また一から説明をしなければいけないのかという思いで頭がいっぱいになった。
混乱したまま診察室の椅子に座ると医師は色々と話しかけてきた。不思議に医師の言葉がすっと心に入ってきた。勢いで私も疑問に思っていることや不安なこと、そして先日のポリープの件などを色々と話した。医師は間を置くことなく私の質問にテンポよく的確に答えた。会話がスムーズに運び私も納得した上で次回はステラーラを二本打つ事に決まった。
不思議な気持ちで診察室を出て、数歩歩いたところで私は気がついた。
医師が変更になった理由を聞くのを忘れていた、と。