皮膚
1回目の投与から20週が経過した。このとき乾癬は、私の体から7割がた消失していた。背中の皮膚の一部などは生まれ変わったかのようにツヤまで出てきた。
これほど乾癬の範囲が少ない自分の体を、今まで見たことがなかった。
なかなか効果が出なかった時期の焦り、絶望感、そして医師の優しく力強い言葉。
そんな時期を過ごして来たからか、私は皮膚の変化にいちいち一喜一憂しないよう気を付けるようになっていた。
だが生活の中で、軟膏を全身に塗るという作業から解放されたのはとても大きかった。
今まではどんなに疲れていようと、軟膏を塗らずに眠る事はできなかった。常に皮膚状態を気にすることが日常だった。
だが今は、軟膏を塗っていた時間を自分の好きな事をする時間に当てることができる。そして軟膏で体がベタベタする不快感からも解放された。
少しづつ自由なことが増えてきた。それと同じ分だけ心も自由になってきた。
今まで心を不自由にさせていたのは自分自身のせいだとも思っていたが、自分を覆う「皮膚」というものが、どれほど心までも覆ってしまうものなのかという事を痛感している自分がいた。