矛盾
自分の体を初めて愛おしいと感じた時、思うことがあった。
いままでどんな民間療法や食事療法を試しても、乾癬はびくともしなかった。その度に私の心は荒れた。
どうせこんな身体だし。
どうせ治らないし。
どうせ私なんて。
どうせ、どうせ、どうせ。
世の中には自分自身のことを好きという人がいる。
私には分からない感覚だ。それが良いとか悪いとかではなく、自分を好き、という感覚が私には全くないのだ。
だが私はいま、自分の体を愛おしいと感じている。
皮疹のない肌を撫でる時、よく頑張ってきたね、と思う。紫外線をむやみに当てたり、ステロイドを塗り続けてきた私の肌。いままで痛めつけてばかりだったな、と思う。
もちろん私は乾癬が治ったわけではない。生物学的製剤で症状が抑えられているだけだ。痛め続けた肌を労わる一方で、まだいろんな事が未知数の生物学的製剤を体に投与している自分がいる。
そして乾癬のない肌を愛おしいと感じる時、同時に乾癬の皮疹だらけだった自分を否定しているように感じるのだ。
でもこれからもきっとこんな複雑な気持ちを抱えながらの治療が続いていくんだろうなぁとぼんやり考えていた。