乾癬という病い

このブログは、難治性皮膚疾患である乾癬という病いとともに生きる、一人の人間の記録です。

近年、飛沫や空気感染での様々な感染症が流行るようになった。今なら麻疹などだが、生物を打つ以前はそのような感染症にかかると仕事に影響するため、満員電車ではマスクをつけたり、うがい手洗いを頻繁にするなど気をつけるようにしていた。

だが生物を打っている今、免疫力が落ちている自分が感染症にかかると重症化してしまう可能性がある。だがあくまでも可能性であり心配しすぎるのもよくないのだが、会社で風邪を引いていたり、電車の中で咳をしている人がいると少し避けるようになってしまった。

ただ自分の感覚がちょっとおかしいなと、今年の会社の健診で再検査になった時に感じたことがある。

ポリープを切除し生検の結果を待つ間、もし悪性だったら、、と恐怖を感じる一方で、もう生物を打てなくなり、また元の肌に戻ってしまうのはいやだ、それは絶対にいやだ、と考えていた自分がいたことだ。

もし悪性ならば、当然の事ながら肌の事など考えている場合ではない。命に関わる事態なのに、頭の片隅であの肌にはもう戻りたくないなどと考えている自分がもう普通ではないと思った。

乾癬のない普通の肌を失いたくない。

季節が変われば衣替えをし、夏が来たら半袖を着て、女性らしい服装をしたい時はスカートをはき、ただただそんな些細なことが出来る自由をもう失いたくないのだ。

人目を避け、夏でも全身肌を隠す服装しか出来ず、いつも体を緊張させていたあの生活に絶対に戻りたくない。普通の肌での生活をもっともっと楽しみたい。これからそういう生活が待っているはずじゃないか。

生物学的製剤が効いてきてからこんな思いが気づかないうちに日増しに強くなっていた。しかもどんどん強く、強くなっているのだ。

この強い思いはとても危険だと分かっている。

いつかその思いが自分を苦しめる時が来るかもしれない。

私はかつて乾癬という病いから、「諦める」という事を学んだはずだった。努力などではどうしようもない出来事や現実に抗うことよりも、きちんと受け入れるという意味での「諦め」。

生物学的製剤により経験してしまったクリアな肌。私はもう既にそれに執着している。諦めることなど今はできそうにない。

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