こども時代
乾癬の症状がそれほど酷くなかった小学校低学年時代、私の性格はとても快活でスポーツが得意な子どもだった。
でも夜、寝付くのが苦手だったりストレスや不安が続くと、今でいう過呼吸の症状や蕁麻疹が時々出ていた。
この頃一番困ったのは頭皮に出る乾癬だった。皮疹の上に出来る鱗屑がポロポロと剥がれ落ち、たくさんフケが出ているような状態になる。 それは髪に絡みつき、そして制服の紺色のブレザーの肩の上に落ちた。
当然のように私は「ね、髪の毛洗ってる?フケ出てるよ!」の言葉を毎日のように学校で言われるようになる。
人の目が怖くて、いつも全身を緊張させていた。人が見ていない隙に肩に落ちた鱗屑をささっと払い、トイレの鏡で頭に鱗屑がついていないかどうか確認する日々。
夏は夏で、制服が半袖になり、出ている腕や足を気にする生活。
特に体育とプールの授業は、私だけに与えられた何か罰ゲームのようにも思えた。苦痛と恐怖以外のなにものでもなかった。
「どうしたの?!この皮膚!」 友達の悪意のない無邪気な指摘に、私のこころは常に怯え傷ついていた。
「乾癬」が誰もが知る病名なら、ちゃんと人に伝えていたかもしれない。でも説明しところで分かってはもらえないだろうし、何より私自身が乾癬という病気がどんなものなのかをわかっていなかった。
医者も「原因はまだわかっていないけど、でも将来はきっと治る病気になるよ。」としか言わなかったし、実際そう言うしかなかったのだろう。私も周りに対しては「なんか湿疹がでちゃって…」と、ごまかすしか他に方法がなかった。
なにより「乾癬」という病名が嫌いだったし、口にするのも嫌だった。
乾癬の症状がひどくなり始めた中学に入る頃、私はすっかり内向的な性格になっていた。
もともと神経質で敏感な部分はあったのかもしれない。そういう性格が先天的なものなのか後天的なものなのかは、今となってはよくわからない。