乾癬という病い

このブログは、難治性皮膚疾患である乾癬という病いとともに生きる、一人の人間の記録です。

乾癬フォーラム

先月、私は秋葉原で開催された乾癬フォーラムというものに初めて参加をした。

参加にはギリギリまで躊躇していた。なぜなら私は今まで一度も乾癬患者に会った事がなかったからだ。同じ患者であったとしても他人に自分が乾癬だとわかってしまう事が怖かった。ずっと隠し続けた人生だったからだ。

でも私は何かを変えたくて一歩踏み出そうと勇気を出し、参加することを決めた。

乾癬フォーラムはいわゆる勉強会みたいなもので医師からこの病についての説明や他国ではどのように知られているかなどの話があった。どれも興味深い内容だった。

また患者会の人達からは治療遍歴や現在の治療法などの話を聞く事ができ、とても参考になった。

会場は多くの人で埋まっていた。全員が全員患者ではないだろうが、パッと見て乾癬患者だとわかる人達も多くいた。私はその事に衝撃を受けた。今まで乾癬患者に会った事もなかったのに、当たり前だがそこには見慣れた皮疹をもつたくさんの患者がいたのだ。

私は考えた。私が生物でいまのようにクリアな肌状態でなければ、ここに来ることが出来ただろうか。周りに同じ患者がいたとしても「私も乾癬です!」と躊躇なく言えただろうか。

他人に自分の乾癬を告白し患部を見られてしまうということは長い長い病歴の中で私がいちばん怖かったことだ。今でも怖い。患部を見られ、それを指摘されることは人生の中でただ傷つくことでしかなかった。

だから乾癬であるということを受け入てもらえる状況というのは生まれて初めてで、その状況をどのように受け止めればいいのかわからなかった。私の中で冷静に頭の中を整理する必要があった。

フォーラムの最後に医師に自由に質問できる時間も設けられていた。私も質問しようと椅子に座り順番を待っている間、色々と頭の中で想いを巡らせていた。

前の人の質問が終わり、私の順番になったので医師の前の椅子に腰掛けようとした。すると椅子の背もたれの下に、前の人の鱗屑がたくさん落ちていた。

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乾癬患者の人達の明るい笑顔や話が印象に残ったフォーラムだったがその笑顔の裏にある苦労や悲しみを垣間見ることもあったように思う。

椅子に落ちていた鱗屑を見たとき、なんとなく自分や他人の乾癬の苦しみの深淵を覗いてしまったような、なんとも言えない気持ちになった。

だが私は一歩踏み出せたことをとても嬉しく思う。私の中でいろんな壁を崩せたように感じている。

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