本当の自分
昔はよく想像していた。
もし乾癬ではなかったら、本当の私はどんな性格で、どんな人生を送っていただろうかと。
ん?でもちょっと待って。何か変だ。
そもそも本当の自分ってなんだ。乾癬じゃない自分が、本当の自分なのか。もし私が乾癬でなかったら、それが本当の自分の人生なのか。
いや、そんなことはない。 今ここにいる自分が本当の自分だ。
私は自分がとても内向的で神経質な人間だと思っていた。実際に人混みは苦手だし、普段の行動範囲はとても狭い。
人より体力もないし、何かをする時はいつも勝手に最悪のパターンを想定して、無駄に自分を苦しめるタイプだ。
…と思っていた。
しかし他人からみると、どうやらそれは違うらしい。
他人が見る私の印象は、驚くほど自分の認識と違うのだ。
明るく前向きで行動的。メンタルも強く積極的な人間だと他人からは言われるのだ。
でも気を遣ったり、明るく振舞ったり、仕事を頑張ったりする事は、単に社会で生きていくために必要なスキルだったりするし、そのスキル自体が自分を偽っているというわけではない。
人間は実に多面的な生き物だ。 内向的な部分も、外向的で社交的な部分も様々な面を同時に合わせ持つ。
だったらわざわざ自分で自分をこういう人間だとカテゴライズしなくてもいいんじゃないか。
そもそもそんな事と乾癬患者である事は全く関係がないのではないか。
むしろ人生で苦しかった部分を、本当の自分だったらこんなはずではなかったのに、と言い訳していただけではないのか。
そう思った時から、本当の自分などという有りもしないものを考える事はなくなった。