等身大の自分
人生において色々な選択をする際に、乾癬患者であるという事が壁になる事が多かった。
仕事を決める時さえも、真っ先に気にするのは、その職場に制服が有るか無いかなのだ。
男性の乾癬患者の場合もおそらくスーツで悩む人は多いだろうと思う。肩に落ちる鱗屑を気にしたり、名刺交換の際の手を気にしたり。
歳を重ねる度に、乾癬のほかにも意外に壁は出てくる。
もちろん年齢もそうだが、女性であるという事も仕事上では壁になる事もある。
趣味で海外を旅行していると、実に様々な人達に出会う。
バックパッカーなどは年単位で旅をしていたりする。
その人たちに仕事はどうしているのか、旅の資金はどうしているのか尋ねると、働いてお金が貯まったから旅をしているんだよ、お金がなくなったらまた働くよ、と答える人が意外に多かった。
日本社会では年単位のブランクは確実に不利になる。
日本を出ると、いろんな国があって、多様な価値観がある。素晴らしい事だと思う。
そんな時、私は自分をガチガチに縛っている無意味な価値観に気づくのだ。
海外を旅をしていると、他人から見て私はただのひとりの旅行者だ。国、年齢、性別、仕事、独身か既婚か、誰も気にしない。そして乾癬のある肌をみて指摘してくる人もいない。
海外旅行という非日常の中で、私は私を縛る多くのものから解放される。
すると自然に等身大の自分が見えてくる。
自分を卑下することも大きくみせることもない、今の等身大の自分、身の丈。
日本で日常を生きていると分からなくなることを、非日常で取り戻すのだ。