乾癬という病い

このブログは、難治性皮膚疾患である乾癬という病いとともに生きる、一人の人間の記録です。

2019

2019年。新しい年になった。

生物学的製剤を使い始めてから私はこれからの自身の生き方についてずっと考えていた。

自分が生きている間に寛解を目指せる薬が開発され、そしてそれを使用できるようになるとは全く予想していなかった。大した治療法がなかった時代があまりにも長すぎた。その長い長い年月が私に希望すら持つことをやめさせた。

皮疹のない肌が「普通」であるのなら、私は普通には出来ない事がたくさんあった。いや、出来たのかも知れないが私はしてこなかったし、しようとも思わなかった。もし私の若い頃に画期的な薬が開発されていれば…という考えが頭をよぎる事は正直ある。だが頭をよぎりはするがそれ以上先は考えないようにしている。その先を想像することは無意味だからだ。

今の肌に満足している。完全寛解はしていないがQOLは格段に上がった。この状態を保ちたい。新しい年になり、新しい生活が始まる。おそらくこの肌状態を保っていくために生活状況は今までより苦しくなるだろう。以前とは異なりかなりのやり繰りが必要になる事が予想される。生物も規定の間隔では打てなくなるかも知れない。

だが私はこの肌で今まで出来なかった「普通のこと」を毎日の生活で出来るようになった。

肌のことで人目を気にしなくてもいい。

季節に合わせた好きな服を着ることができる。

ステロイドでコントロールすれば温泉にもジムのプールにも行ける。

卑屈な自分にならなくてもいい。

これだけで人生の満足度は随分変わる。金銭的な負担より、今まで私には出来なかった事を普通に出来るようになった喜びの方が勝っている。

毎日が仕事のためにあるような多忙でストレスフルな生活はやめてワークライフバランスのとれた生活をする。金銭的に苦しくなっても人間らしく普通に暮らす生活。今まで出来なかった事を取り戻すのではなく、今から新しい生活を始めるのだ。普通の肌で過ごす初めての生活を始めるのだ。

その生活が素晴らしいものでありますように。

そしてそれが少しでも長く続きますように。

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